あの日失くした星空に、君を映して。



「ど、どういうことなん!11月って…そんな話いつ出てきたんよ」


まくし立てる風香の顔は真剣で、これまで黙っていたことに対して後ろめたい気持ちがむくむくと胸を占める。


工藤くんも黙ったままだけれど眉根を寄せていて、私はふい、と目を逸らす。


「どこに引っ越しするん?」


そんな中で唯一冷静な美里さん。


「え…まだはっきりとは聞いてないんだけど、電車を乗り継いで4時間くらいの所って」


町の名前はよく覚えていない、この町と似た雰囲気の所を選んだんだって、大谷田さんが話してくれた。


詳しい話はお母さんと大谷田さんがしているはずだ。


私は2人の雰囲気になかなか入っていけなくて、話から外れることが多いから、あんまり聞いてないんだよね。


「そらまあ…遠いわな」


妙に落ち着いた美里さんの呟きを最後に沈黙が落ちる。


校舎の外のチャイムが鳴り響く。


チラリと深影に視線を送ると、呆れたように笑いながらパンパンと手を叩いた。


「ま、辛気臭いのは無しな。鏡華はあと1ヶ月、どうしたいん?」


「え……」


促すように頷かれて、言葉に詰まる。