あの日失くした星空に、君を映して。



「はい、お待たせしました」


トレーを持った田畑さんが戻って来て、私の前にあんみつを置く。


工藤くんのお店に置いてあるあんみつにアレンジを加えた感じで、私はこっちの方が好きだなって思った。


「あ、後で深影が来るって言いよったから戸塚さん先に行かんでな」


…………………は?


「田畑さん、もう1回」


「ん?やけん、深影が後で来るから待っとってって言いよったよ」


キョトンとしながら、もう一度田畑さんが言ってくれた。


ていうか……え?


深影が来るの?ここに?


「に、逃げないと…」


「いやいや、何で逃げるん」


田畑さんは大谷田さんのことを私のお父さんと勘違いしているのかもしれないし、別にそれでも間違いではなくなる…のだけれど、困るんだって。


深影は私の家のことを知っているし、急に大谷田さんを見たらビックリする。


「ん?…まあいいや。伝えとくって言っちゃったからさ、とにかく逃げんでよ」


田畑さんはそう言い残して他の席に行ってしまった。