気づかれないようにため息をつく。
2人の雰囲気に馴染めないというか、居心地が悪い。
ほのぼのとした会話が目の前で交わされるのを見て、またため息。
2人の馴れ初めとか、大谷田さんがバツイチだとか、息子さんがいるとか、そんな話をぼんやりと聞きながら、何とか頭で決意を固める。
「それで、もうお母さんから話は聞いてると思うんだけど」
「あ、はい。再婚のことですよね」
「うん、鏡華ちゃんの希望を優先したいっていうのがお母さんの願いだから、どう思っているのか教えてくれるかな」
柔らかな笑みを浮かべる大谷田さん。
けれどもその瞳の奥には真剣さが見えて、ゴクッと生唾を飲んだ。
もう、答えは決まってる。
ここまで来て私の希望を優先したいなんて言われると、お母さんは結局人任せでズルイとも思うけれど
私のことを考えて言ってくれてるんだって、わかってるから。
私はそれに応えないといけない。