不意をついて絡められた指先が甘く痺れるような、変な感覚。 握られた手を振り払うことができないでいると、目を細めて笑われた。 薄暗い上り坂を2人で歩く。 昔は会話がないって気まずくて嫌いだった。 けれど、深影との間に落ちる沈黙は気まずさなんて欠片もない。 ただお互いの体温を手のひらから感じ合う空間に言葉なんていらないと思った。 普段あれだけうるさいセミの鳴き声も気にならないくらい、繋がれた左手だけが熱を持っていた。