大きな手のひらが私の左目を覆う。


もう片方の手で後頭部を支えられる。


「……ん」


触れ合った唇がかすかに震えていることに気づいたけれど、私はただ深影のキスに応えた。


触れるだけのキスを何度か繰り返して、深影がまた私を抱きしめた。


「俺も」


「え?」


「…今、幸せ」


鼓膜を揺さぶるような小さな響き。


好きな人に幸せだと言ってもらえるって、こんなに幸せなことなんだ。


深影も同じことを思っているのだとしたら


幸せが止まらなくて、少しだけ、怖い。