「好き」


本当に、なんて陳腐な言葉だろう。


ただそれだけしか口にできない私にとって、その言葉を連呼するほどに想いは募るのに、同時に伝わる想いは薄れていくような錯覚。


「もう1回言って」


「好き」


「もっと」


「…大好き」


どんなに想いを振り絞っても、まだ好き以上にはなれない。


きっと深影も同じだから


「俺も」


そう言って笑ってくれるんだろう。