「早う帰れよ。お前謹慎になったんだって?馬鹿やらかしたな」
「うるせぇ」
あれ…?
何でマツじいが深影の謹慎のこと知ってるんだろう。
深影が言ったのかな。
それにしても。
「どうせ喧嘩すんなら顔歪ませて帰ってこいヘタレが」
「んなことしたら謹慎やなくて退学になるやろ」
この2人の会話ものすごくない?
マツじいがやけに挑発的だし、深影もらしくなくそれに乗らされてる。
まともにやり取りを見るのは初めてなんだけれど…こんなものなのかな。
「ほら、もう行こう鏡華」
「あっ、深影?」
グイ、と手を引かれてそのまま芝生を真っ直ぐに進む。
正確には、元来た道を引き返している。
チラッと後ろを振り向くと、マツじいが小屋の中に入っていく背中が見えた。
「ねえ、何でマツじいが謹慎のこと知ってたの?」
「ああ…あの人じいちゃんの兄貴だからさ、じいちゃんが勝手に言ったんだろ」
「え!?」
おじいちゃんのお兄さん?
全然似てないから気付かなかった…
ていうか、何か…世界って広いけれど狭いね。
美里さんと山本先生といい、深影のおじいちゃんとマツじいといい…
そこまで広くない町だからかな?
どこかしらで繋がってる。



