あの日失くした星空に、君を映して。



頬には大きめのガーゼが貼られていて、あの痛々しい傷は覆われていた。


「深影」


固まる深影の傍に立って、見上げる。


私がここに来るとは思わなかったのかな。


それとも、自分がここにいることがバレないと思った?


目の前に来ても何の反応も示してくれないから、顔の前で手を振る。


するとハッと我に返ったように深影が目を瞬いた。


「鏡華…?」


「うん」


「なんで…」


うん、だからそれじゃわかんないって。


ビックリさせちゃったかな、でもそんなに意外だった?


「何だ、みかお前いつの間に嫁ができたんだ」


「はあ!?違うわ!まだ嫁にはもらってねぇよ」


黙って見ていたマツじいがニヤニヤしながら深影をつつく。


まだ………まだ!?


えっ…まだってことはさ、その…


いつかはそういう…うん。


「まだ、な。そーかそーか。まだか」


「揚げ足とんなよ…ほんっとエロジジイが…」


「利子つけるぞ」


「すんません」


そういえば深影ってマツじいに色々ツケがあるんだっけ?


利子がついたらとんでもないことになるってわかってるんだ。


深影が言い負かされるなんて珍しい。