あの日失くした星空に、君を映して。



長いニシロ階段を上る。


毎日の日課のつもりだったのに、最近は全然来ていなかった。


雨が多くて外に出ることも少なかったし、暑くなってきたから長い階段はキツくて。


なんて言ってたら深影に体力なさすぎって笑われちゃうかな。


息を切らせて頂上に到着。


芝生に雨の雫がちらほらと残っていて、キラキラ輝いてる。


綺麗…


光を浴びて反射する雫は風に揺れる度に滴り落ちていく。


そんな些細なことに気を取られていると、どこからか話し声が聞こえてきた。


深影…?


明らかに1人の声じゃない。


キョロキョロと辺りを見渡すと、高台のずっと奥、小さな小屋の外に人影が見えた。


立ったまま話をする2人の姿。


1人は立ち姿からして深影…もう1人はえっと…確か、マツじい…だっけ?


風香が初めて教えてくれた時以来見ることがなかったから、忘れかけてた。


学校での喧騒なんてすっかり忘れきったようにマツじいと笑い合う深影の元に歩いていく。


ゆっくりと近付く私に気付いた深影が視線をこっちに向けて目を見開いた。