思い起こそうとするのを邪魔するように頭痛が思考を遮る。
それでも完全には消えてくれなくて、瞬きをした一瞬にさえちらつく工藤くんの姿にまた涙が溢れた。
思い出さないようにしてた。
右眼のなくなった小さな空洞の喪失感だけを抱いて。
もとの右眼をなくした時のあの痛みだけは思い出さないようにしてた。
それが工藤くんの怪我を見たことで触発されて無意識のうちに溢れ出たんだと思う。
痛いというよりも、熱かったあの感覚を鮮明に思い出す。
怖くなって、2人の手を握り締める。
深影に話をしたことで乗り越えられた気になっていただけで。
本当はずっと怖かった。
怖かったな、って深影は言ってくれたから、それで終わりにしなきゃいけないと思ってた。



