気を緩めたら飛び出して行きそうな2人を押し込める数人の男の子達も額に汗を浮かべながら、何かを叫んでる。
ガヤガヤと廊下の人達の声が騒がしくて、うまく聞き取れない。
けれど、そんなことよりも。
「深影!!!やめろって!」
「うるせぇよ!どけ!」
血走った目で、怖いくらいの怒気を孕んだ深影の頬が赤く腫れていることの方が、私の目にとまる。
唇の端が切れていて、流れた血が痛々しく固まっていた。
ここからだと、工藤くんの顔まで見えない。
工藤くんも怪我をしているはずだ。
どうにか背伸びをして中の様子を窺おうとしたけれど、人波に押されて全然見えない。
耐えきれなくなって教室に飛び込もうとした時
「静かにしろおお!!!」
鼓膜を揺さぶる、大きな声が廊下中に響きわたった。
一瞬でシン、と静まり返った生徒の間を、背の高い先生達が走ってくる。
先頭にいるのは、山本先生。
多分、さっき叫んだのも山本先生だ。



