「はぁ!?なんなんそれ。最低やな!」
美里さんが怒鳴るけれど、私は風香から目を逸らすことができない。
「っ…やっぱり」
やっぱり…?
やっぱりって、何が…
風香の「やっぱり」が工藤くんの行動のことだと思って考えた私は
風香がはっきりと言葉にするまで、気付けなかった。
「好きになんか…ならんかったらよかった」
…なんで…
なんで、そんな風に言えるんだろう。
ギシリと自分の胸が軋むのと同時に、何で言わせてしまったんだろうって苦しくなる。
遮れば、風香は最後まで言わなかった。
言わせたくなかった、そんなこと。
再び堰が切れたように泣き出す風香を美里さんが抱き寄せる。
呆然とする私に、申し訳なさそうに眉を下げて言った。
「ごめんな、ちょっと2人にしてくれん?うちが後でちゃんと連れていくけん」



