違和感を感じながら教室に入る。


教室の後ろや誰かの席のまわりに人が集まる、いつもの風景。


でも、工藤くんの席には荷物はあるのにその姿がない。


いないの…?なんで…


変にビクついてしまうのは、これが私と深影、工藤くんだけの話じゃないから。


今更かもしれないけれど、もしかして…風香…知ってる?


何も言わなかったんじゃない、言えなかった。


何事もなかったように、とまでは無理だってわかってた。


だからせめていつも通りを装っていようと思った。


器用じゃないから、それさえできるか自信はなかったけれど。


「鏡華…!」


「え…」


突然、後ろからグイッと手首を引かれてバランスを崩す。


「あっぶね…お前、何して…」


とっさに深影が支えてくれたからよかったものの、あのまま倒れこんでいたら危なかった。