「愛とか、まだよくわからんから」


「深影…?」


「好きしか言えん」


初めて会った日のように、おでこを小突かれる。


違うのは、その後を追うように唇が触れたこと。


「じゃあ、言って?」


「………どうしても?」


「うん」


聞きたい。


あ、でも、そんなこと言われたらもっと好きになっちゃうな。


私だって、まだ愛なんてよくわからない。


“愛してる”って意味もわからずに伝えるよりも


沢山の“好き”が欲しい私はまだ大人になりきれないだけの子供なのかもしれない。


それでも、同じものを分け合っていたい。


「鏡華、好き」


はにかんで、そう言ってくれた。