「これ…葛湯…ですか?」
「そうよ、正解」
葛湯かあ。
懐かしいな。
子供の頃、熱を出した時におじいちゃんが作ってくれたっけ。
幼稚園以来の葛湯は、さすがプロが作ったものと言うべきか、絶妙なとろみと色。
中にたくさん詰まっていたらしく、割ったところから溢れでる葛湯を掬って大福を口に入れる。
その様子を見て、工藤くんのお母さんが苦笑した。
「とろみが強すぎてね、割るとすぐに出てきちゃうのよ」
「そうですね…おいしいけど、ちょっともったいないかもしれないです」
残った葛湯を掬って舐めたりするのは行儀が悪いし、何より竹ようじじゃ無理だ。
とろみを残したまま、大福に閉じ込められたらいいのだろうけれど、難しいよね。



