落としてくれたスピードに合わせて傘の中で寄り添う。
気まずい空気が流れるけれど、だからって話すことなんてない。
さっきから私ずっと謝りっぱなしだ。
お互いに気を遣うせいだってわかってるんだけれどね…
何となく工藤くんに対して萎縮しちゃうのには理由がある。
深影は気にしてなかったみたいで、今は普通だけれど、工藤くんは1度深影を殴ってる。
私と深影の間で起こったことなのに、友達を殴る工藤くんのことがよくわからない。
だから少し、怖い。
お互いに黙ったまま、工藤くんの家に到着。
ガラガラと引き戸を開けると、ふわりと抹茶の香りがした。



