あの日失くした星空に、君を映して。



「よかったな」


永田くんは私の手からチリトリを奪って、ゴミを片付けてくれた。


「……ありがと」


これじゃ何にお礼を言っているのかわかんないや。


掃除用具を片して廊下に出ると、壁にもたれる工藤くんが顔を上げた。


「ごめんね、待たせて」


「いい。早くして」


先に歩いて行く工藤くんの歩調は私よりもずっと早くて。


深影が私に合わせてくれるのに慣れてしまっているせいで、少し早足じゃないと追いつけないくらい。


「ま、待って」


「なに」


ピタリと立ち止まって私を見下ろす工藤くん。


私の息が乱れているのに気付いたのか、バツの悪そうな顔をして小さく謝った。


「もうちょっとゆっくり歩いてくれる?ごめんね」


「いや…悪い」