「よかったな」
永田くんは私の手からチリトリを奪って、ゴミを片付けてくれた。
「……ありがと」
これじゃ何にお礼を言っているのかわかんないや。
掃除用具を片して廊下に出ると、壁にもたれる工藤くんが顔を上げた。
「ごめんね、待たせて」
「いい。早くして」
先に歩いて行く工藤くんの歩調は私よりもずっと早くて。
深影が私に合わせてくれるのに慣れてしまっているせいで、少し早足じゃないと追いつけないくらい。
「ま、待って」
「なに」
ピタリと立ち止まって私を見下ろす工藤くん。
私の息が乱れているのに気付いたのか、バツの悪そうな顔をして小さく謝った。
「もうちょっとゆっくり歩いてくれる?ごめんね」
「いや…悪い」



