深影が隣にいないだけで1日がとても長く感じる。
授業中はどこか上の空で、5回も注意された。
「戸塚さ、今日深影がおらんからあんなやったん?」
「へっ!?」
教室の掃除中、不意にそんなことを訊かれて、集めたばかりのゴミを再び床にまき散らしてしまう。
いたずらっぽく笑う坊主頭の永田くん。
そんなに仲がいいわけじゃないけれど、誰にでも分け隔てなく接する人だから話しやすい。
「違うよ」
「付き合っとんのやないん?」
「な、なんで…?」
「見てればわかる。中高ずっと同じやけん特に深影のことはな」
訊いてきたくせに、絶対わかってるでしょ。
皆それぞれのグループを持っているけれど、基本的に誰とでも仲がいい感じのこのクラス。
長い間一緒にいたのならちょっとした変化に気付いてもおかしくない。



