あの日失くした星空に、君を映して。



「まあ、鏡華が家に行っちゃればすぐ治るやろ」


「来るなってメールに書いてたよ」


私のことだからどうせ学校が終わったら来るとか言うんだろうけれど、やめろって。


風邪が移ったらいけないからって言いたいのはわかる。


でも…ちょっと寂しいな。


「あ、ほら幸久来たよ」


風香の視線を追うと、後ろのドアから入ってくる工藤くんがいた。


右手には傘を持っている。


昇降口に置いていて盗まれたことがあるらしくて、それから教室に持ってくるようにしてるんだって。


ていうか、私傘持ってきてないよ。


昨日の大雨が嘘みたいに今日の天気は快晴。


雨なんて降るはずがない…のに、工藤くんが持ってきているなんて、まさか…


「ね、ねえ…風香、もしかして今日雨降ったりとか…しないよね?」


「昼から降るってばあちゃんが言っとったよ?」