ふと、時計を見た風香がグッと顔を寄せてくる。


工藤くんにも耳を寄せてもらって、風香がコソっと言った。


「あたしらも行かん?東病院やろ?」


それって…今から抜け出してってこと?


「いいな、それ」


って!工藤くんも乗っちゃうの!?


「鏡華はどうするの」


ジッと工藤くんに顔を覗きこまれる。


その瞳には普段見たことのない焦りが滲んでいた。


「……行く」


深影のこともだけれど、おばあちゃんが心配だ。


実の孫である深影と同じように接してくれるおばあちゃん。


私はおじいちゃんは知っているけれど、本当のおばあちゃんは知らない。


だから深影のおばあちゃんは本当のおばあちゃんみたいで大切な人なのだ。