「小4のとき、海で溺れたんだ。それで…両親が死んだ」


助けに来た両親が溺死で亡くなったこと。


おばあちゃんやおじいちゃんのいるこの町に海があることを知って、しばらくはおじいちゃんと一緒に前の町で暮らしていたこと。


「海がこわくて、じいちゃんとばあちゃんを引き離して前に住んでた所にしがみついてた。両親がいない家は寂しかったけど、じいちゃんがいてくれたけん…それでよかった」


けれどそれから4年後の夏。


おばあちゃんが病気で倒れて、おじいちゃんに連れられてこの町に来たこと。


「じいちゃんが見たこともないくらい取り乱して、そのとき思ったんだ。俺のワガママで4年もじいちゃんとばあちゃんを引き離してたんやって」


幸いおばあちゃんの病気は命にかかわるものではなくて、今は元気だってこと。


「ずっと学校には行ってなかったけん、この町で再スタートっていうか…風香と幸久と仲良くなってさ、それからはいつも3人やったんよ」


今も昔も深影のそばには風香と工藤くんがいたこと。