あの日失くした星空に、君を映して。



*

「戸塚さん、昨日ね…」


仲良くする気はない。


そう、昨日で佐山さんとの関係は終わり。


の、はずだったのに。


なんで私、佐山さんと一緒にお昼ご飯食べてるんだろう…


「あのさ…佐山さん友達いいの?」


さっきからチラチラと視線を感じてるんだけれど。


小声で言うと、佐山さんは小さく肩をすくめた。


「うん…なんか昨日ね、帰ってから考えたんだけど、残り少ない間だけでも戸塚さんといた方が楽しいかなーって」


「…そっか」


それって、楽しいじゃなくて、ラクの間違いじゃないの。


絶対ラクな方を取られた。


そんな簡単に決められるって、避けられた原因は佐山さん自身なんじゃないかな。


ユラユラ揺れるタイプだ。


私の苦手なタイプ。


揺れる人が1人でいることが安定してる人の所に来ると、大抵ロクなことがない。


まさに私の今の状況。


「戸塚さんとご飯食べるといつもより美味しく感じる!」


「それはよかったね」


そりゃあ、一方的に話して自己完結して次の話題に移ってたら楽しいだろうね。


私は適度に相槌を打ってるし、そのたびに佐山さんは嬉しげ。


こんな心のない返事でも、楽しめるんだ。