中はすっごく殺風景だった。
一応電気は点いてるけど、建物の中は全体的に薄暗い。
扉を開けると、決められた間隔に部屋が並んでいた。
「ここで、犯罪者達は暮らしてるの……?」
「そうだよ。1日の大半をここで過ごすんだ」
「随分と、狭い空間だね」
「まぁね……」
お兄ちゃんは1つ1つ、丁寧に説明してくれた。
そこで私はふと、1つ疑問に思った事があった。
「死刑囚はいないの?」
何気なく、聞いただけだった。
なのに……。
「えっ……」
お兄ちゃんの顔が険しくなった、と思ったら……。
「ここにはいないよ」
素っ気なく返答した。