天野さんは「そう」と興味なさそうに呟いた。 お互いに名前を教え合って、その後は他愛もない話をした。 「それでですね……」 しゃべってるのはほとんど私だけど。 彼は相槌を打ってるだけ。 学校であった事とか。 友達と遊んだ事とか。 とてもささやかな日常の事を話した。 こうやって話してると嘘みたいに感じる。 ほんの一瞬忘れてしまう。 彼が犯罪者だって。 私達の間を区切るこの透明ガラスはきっと、私達の世界を隔てる境界線。