しばらくして、ガチャっとリビングのドアが開く音がした。


私はドアの方は見ずに俯いた。





「彩菜」


後ろから声がかかった。

ゆっくりと、こっちに歩み寄ってくる気配を感じた。




「どこに行ってたとか、追求はしない」


私の頭に手を置いて、呟いた。




「夜、外出するなとも言わない」


「……うん」


「でも、遅くなる時はちゃんと連絡してね。絶対に」


「……うん。ごめんなさい」




本当に、ごめんなさい。


でも何も追求しないなんて、お兄ちゃんは優し過ぎるよ。