素っ気なくされたけど、何故かまたここに来ようと思った。




「もういいの?」


「あ……桐谷さん」



桐谷さんは廊下の壁にもたれかかっていて、私に気づくと、頬笑みながら歩み寄ってきた。





「お兄ちゃんから電話があったので……」


「ふーん。あいつ、妙に過保護だね。彩菜ちゃんって愛されてるんだね」



確かに過保護だけど、でもそれは兄に愛されてるって証でもある。





「じゃあ、帰ろうか」


「はい……」



あ、そういえばあの人の名前聞いてない。


聞くの忘れちゃった……。



まぁ、また今度来た時にでも聞けばいいか。