「帰るの?」


「えっ……」



彼がジッと、真っ直ぐに私を捉えていた。




「は、はい……」


「あっそ。さよなら」



明らかに棒読みなセリフを素っ気なく言われた。


とにかく今日は帰ろう。



椅子から立って、ドアの方に歩いて、ドアノブを握った時。


私は彼の方を見て……。





「また、来ますっ」


それだけ言って、さっさと退室した。