「着いたよ。さ、降りて」
「……はい」
車を降りて、目の前には大きな殺風景な建物が佇んでいた。
街灯がないから、唯一の明かりは空から顔を覗かす月だけ。
「さ、入ろうか」
「あの、ここは……」
「ここに死刑囚が収監されてるんだよ」
そっか……。
ここには凶悪な犯罪を犯して、死刑判決を受けて、自分の命の終わりを淡々と待つ運命の人だけが収容されてるんだ。
こんな場所、本当に私みたいな一般人が来てよかったの?
「彩菜ちゃん?行くよ?」
「桐谷さん……いいんですか?私なんかが……」
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