雅くんはほんの数秒間を置いた後、控えめに笑って……。
「わかった。でも、あまり遅くならないようにね」
と言った。
「うん、ありがとう。行ってきます」
それだけ言って家を出た。
外に出ると、桐谷さんはうちの前に停めた車の前に立っていて、私に気づくと速やかに助手席のドアを開けた。
「どうぞ」
「ど、どうも……」
車が発進されて、暗い夜道を淡々と進んでいく。
「どこへ行くんですか?」
「知りたいんでしょ?死刑囚がどこにいるか」
「はい……まぁ」
「これから教えてあげる。ってか、会わせてあげるよ。死刑囚に」
……え?


