死刑囚と少女~禁断の愛~



一応、部屋の住人の名前を確認しておくか。

敷地内に入り、1番奥の部屋……表札には小さく103号室と表記され、その下に「西園寺」と書かれていた。

苗字だけじゃ、男か女かわからない。


でも……西園寺って、どこかで聞いたような……。

ひとまず、明来の帰りが遅い原因が判明したので、俺はそのまま来た道を戻り、自分のアパートへと帰った。


思えばこの時、部屋の中へ強引にのり込んでおくべきだったのかもしれない……。




そしてこの日、明来が帰ってきたのは、11時過ぎ頃だった。


『お帰り、遅かったな』


『ごめんなさい……また友達の家に、行ってて』


『そっか。あまり遅くならないようにな?』


『……うん』



友達の家に行っていたというのは、嘘じゃないとわかっていたので、これ以上追及しなかった。


『それじゃ、俺はこれから居酒屋でバイトだから、行ってくるな』


『行ってらっしゃい……』


この日の明来も、とても疲れたような顔をしていた。