「……だから、何でそう断言できる?」


「だって……明来さんの話をする時、天野さんはとても優しい目をしているから」


「……」


「あなたの表情を見ているだけで、明来さんの事をすごく大切に想ってるんだろうなって、伝わってくるんです」



険しかった天野さんの表情はあっという間にポカーンとした顔になった、かと思えば「ははっ」と今度は小さく笑いだした。




「見てるだけで伝わる、か……まぁ俺にとって、あいつは特別な存在だからな」



また、胸にモヤッとした気持ちがよぎる。




「少し長い話になってもいいなら、話してやるよ。あんた、話すまで帰らなそうな感じだしな」


「もちろん、どんなに長い話でも最後まで聞きます。何時間でも聞きますから」



私がそう言うと天野さんは、静かに話を始めた。





「俺、小さい頃に親に捨てられたんだ」


「えっ」


「俺の親はシングルマザーで、俺を施設に預けた後、行方をくらまして音信不通になったって、施設を出る時に聞いた」


淡々と話すその様は、まるで他人の事を語っているようにすら見える。



「明来も、そうだった。俺と同時期くらいに施設に預けられたんだ。あいつもシングルマザーで、母親は明来を施設に預けて、恋人だった男と駆け落ちしたって教えてもらったらしい」


本当に2人って、長い付き合いなんだ……。

胸が、締め付けられそう……。