沈黙の後、彼は静かに言葉を放った。



「いられなかったから……」


「え?」


「殺さずにはいられなかったから」


「っ……!」


「だから俺はあいつらを殺した。それだけの事だ」



冷たい口調で言い切ったその発言に、少しだけ怖気づいてしまったが、それでも私は彼の目を見てこう言った。




「でも、何か理由があったんですよね?」


「……理由」


「じゃなきゃ、あなたは絶対に人を殺したりなんかしない」




―ドンッ


突如、響き渡った大きな音に体が驚く。

私達の間を隔てる透明の壁を、天野さんが思い切り叩いた。



更には鋭く睨みつけられた。




「あんたに俺の何がわかる……俺らは、こうやって少し話をするだけの関係……血の繋がりもなければ、昔から知っている間柄でもない」


「……そう、ですね」


「なのに、何でそう断言できるっ!?赤の他人のあんたに何がわかるんだよっ……」


「わかりますよっ!」



彼の気迫に少々怯みながらも、私は室内に響き渡るような声で叫んだ。