「じゃあ、ちょっと待っててね」
いつもの場所に案内され、椅子に座って天野さんが来るのを待った。
少しして彼は来た。
相変わらず、少しけだるげ。
「こんばんわ、天野さん」
「……どーも」
彼が私の前に座ってすぐに、話を切り出した。
「天野さん、私、どうしても知りたい事があるんです」
「何?」
「あなたはどうして、4人も殺したんですか?」
「……は?」
私の質問に彼は眉間にシワを寄せて、あからさまに怪訝な表情を浮かべた。
不謹慎な質問をした。
わかっているけど、どうしても知りたいんだ。
その理由は好奇心なんかじゃなく、疑問に思うからだ。
どうしてこの人が、殺人なんて最悪の手段に出てしまったのか。
4人も殺せば、確実にもう表には出られない。
死刑判決が下る事くらい、予測できたはずだ。
自分が死刑になってしまえば、大切な存在の明来さんを1人ぼっちにさせてしまう。
「殺人を犯したら、明来さんのそばにいられなくなるって、わかってたはずですよね?」
「……」
「それなのに、どうして……」
俯いてしまった彼は、先程からずっと険しい顔のまま。


