ただ会って話すだけ。


彼と一緒に過ごした時間なんて、ほんの少しだ。



明来さんは、私とは比べ物にならないくらいの長い時間を天野さんと一緒に過ごしてきたんだろう。


強い絆で結ばれているのは、私じゃない……。




「桐谷さん、勘違いしてるみたいですけど、私と天野さんはそんなんじゃないですから」


「……へーえ」


「それよりも、本気なんですか?天野さんを外に出すって……」




車が信号で停まって、私に視線を移した桐谷さんは微かに口角を上げて「もちろん」と言った。


嘘ではない、はず。

もし本当に外に出られるとしても、これは私1人で決めていい事じゃない。



残りの時間を外で過ごすか、独房で過ごすか、それを決めるのは彼自身。