7時5分前くらいに桐谷さんが迎えに来た。
「どーも」
「こんばんわ」
「ま、昼間に会ったばっかだけどね」
当たり障りのないあいさつを交わして、車は走り出した。
運転しながら桐谷さんはからかうような口調で話しかけてきた。
「あいつ、寂しがってたよ?彩菜ちゃんが、なかなか会いに来ないから」
「……そうですか」
「彩菜ちゃんとあいつ、だいぶ仲良くなったよね?まさか、ここまで仲良しになるなんて思わなかったな」
「仲良し、なんですかね?」
やっぱ、ピンとこない。
天野さんと私の関係が何なのか、まだ漠然としている。
友達と、呼べるものなのかな?
「十分仲良いよ。むしろ2人の間には、友情以上の強い絆があったりして」
「変な事、言わないでください」
桐谷さんは鼻で笑って、「ごめんごめん」と悪びれた様子なく言った。