「でもその人には、とても大切な人がいて、私が入り込む隙はないって感じで……」


話を聞いた梨絵菜は腕を組んで、「そうか、恋煩いか」と呟いた。

すかさず、そんなんじゃないと否定した。


だが梨絵菜は勝手に恋煩いだと勘違いしたまま、話を進める。



「その好きな人って、彩菜が駅で話してたあのイケメンでしょ?」


「えっ!ちっ、違う違うっ!絶対に違うからっ!」


「そんな照れなくていいからー。そっかそっか、あの人が彩菜の好きな人か。イケメンだから、きっと相当モテるでしょうね」



確かに桐谷さんはカッコイイと思う。

でも好きになるとかは、絶対にない。


そもそも、私が天野さんに対して恋愛感情を持ってるのかどうかだってわかんないし……。