もしも天野さんがあそこから出られたら。
明来さんに会わせてあげられる。
ほんのひと時でも、明来さんのそばにいれる。
大切な存在の明来さんとの時間を過ごす事が、きっと彼にとって最大の幸せ。
「決断するなら、なるべく早くね。あいつには、残された時間がもう少ないと思うから」
「……」
「じゃあね。連絡、待ってるから」
手を振って、桐谷さんは去って行った。
その直後に梨絵菜が走ってきて、私の肩を興奮しながら叩いた。
「彩菜!今の人誰!?まさか彼氏とかっ?」
「ううん……違う、けど」
「親し気に話してたから、彼氏なのかなーって思っちゃったよー!」
梨絵菜は興奮してるみたいだけど、私の心は何故か沈んでいた。


