「てゆーか彩菜、帰るよ。もう十分でしょ?」 「え……」 お兄ちゃんは私の手を引いて歩き出そうとした。 「あ、待って」 いきなり桐谷さんに腕を掴まれた。 私はややビックリしながら、彼の顔を見た。 「彩菜ちゃん」 桐谷さんは私の耳元で……。 「キミの疑問は明日の夜、俺が教えてあげるよ」 と言った。 その言葉は、麻酔薬のように私の全神経を支配していった。