【透真side】



「彩菜ちゃんに、何かした?」


桐谷が俺の独房を覗いてきたのは、彩菜が帰ってから随分経ってからの事だった。




「何もしてねーよ」


俺らの間には透明の板が隔ててあるんだから、普通に考えて手出しできるわけないだろ。

しようとも思わないし。



「あっそ。なーんか彩菜ちゃん、明らかに元気なかったから。何かあったの?って聞いても答えてくれなかったから」


「……」



彩菜に、明来に似てるって言ったのがまずかったのか……?