天野さんが口にした住所は、私の家からそんなに遠くない場所だった。

しかもそこは……。



「天野さん、私、そのアパート知ってます」


彼が言ったアパートは、今にも潰れそうなボロアパートで、幽霊が出るんじゃないかってうちの学校では一時期噂になった。



「今でもそのアパート、ありますよ。うちの学校では幽霊アパートだって一時期噂になってましたから」


「そっ。ナイスネーミングだな……」


「そこに行けばいいんですね」


「あぁ。そこの……3号室に、俺らは住んでたんだ。今でもあいつが、そこにいるかは知らないけどな。あいつは病弱な奴だったから、体を壊してないか、今でも心配でな……」


すっごく、優しい顔してる。
よっぽど大事なんだ、その人が。


本当は胸が痛むけど。
でも、天野さんのお願いだもん……。