「もう二度と、俺は外に出られない。でも、許されるなら俺はもう一度だけあいつに……」 うん、会いたいんでしょ? その大切な人に。 会わせてあげたいけど、私にはどうにもできない。 「……彩菜」 名前を呼ばれ、ドキッとした。 こんな状況なのに、不謹慎じゃん。 「お前に、1つ頼みがあるんだ……」 顔を上げ、真っ直ぐに私を見つめる彼の目には薄っすらだが涙が浮かんでた。 「今から俺が言う住所の場所に、行ってみてほしいんだ……。今でも、あのボロアパートが建ってるかどうかは、わからないけど……」