「……あの人も、友達なの?彩菜ちゃんを車で送ってくれた、あの人」
更なる質問に、また思考回路が狂いそうになる。
あぁ、どうしよう。
しっかり見られてたようだ。
本当の事なんて、言えない。
「あの人は、お兄ちゃんの知り合いで……私の、友達でもあって、桐谷さんって人なんだけどね……」
私が桐谷さんの名前を口にした途端、雅くんの顔色が変わった気がした。
「その人ってまさか……」
「え……?」
「その、桐谷さんって人、下の名前はなんていうの?」
「星夜さん、だけど……」
「嘘っ……桐谷星夜って……」
膝の上で手を握り締めて、雅くんは俯いた。


