独房はクーラーとか、ないのかな……。
「もう、夏休みなんです」
「ふーん」
「まぁ……暇してますけど。相変わらず、淡々と日々が過ぎていくだけなんですけどね」
「そうか……」
私にとって毎日は、ただ何気なく過ぎていくだけ。
でも天野さんにとっては、1日1日がカウントダウンでもあるんだ。
死刑執行の日までの、命のタイムリミット。
後何回、こうして彼と会えるんだろうか……。
「今日は、夏祭りがあるんです」
「は?お前、そんな日に、こんな所にいていいのかよ……」
「いいんですよ」
「普通に考えて、祭りの方に行きたいだろ」
「……別に」
花火を天野さんと見たいと思った、とはさすがに恥ずかしくて言わなかった。


