園内の時計を見ると、一時半を回っていた。
「よし、ボク。大っきい鳥を見に行こうか」
小さな俵型のおにぎりを頬ばっている息子は、大きく首を縦にふった。
父親のわたしに声をかけられていることが、よほどに嬉しいようだ。
思わずとんでもないことを聞いてしまった。
「ボク。ママ、怖いよな。パパとママ、どっちが好きだ?」
息子は小さな声で、うんと頷いた。
聞くべきことではなかった。
しまったと思ったが、飛び出た言葉を呑み込むことはできない。
答えなくて良いよと言いかけた途端に
「パパのほう」
と、また小さく答えてきた。
「悪かった、パパが悪かった。パパもママも両方好きだよな。どっちもだな」
息子の目が輝き、今度は大きく、「うん!」と答えた。
園内地図を広げながら、コンドルの場所を探した。
他の動物園ではあまり居ないはずで、あの大きさには息子も驚くだろうと思えた。
地図で場所を特定したものの、それらしき檻が見つからない。
あちこち連れ回す内に、次第に息子の歩みが遅くなってきた。
幾度となくあくびをしている。
「よし、ボク。大っきい鳥を見に行こうか」
小さな俵型のおにぎりを頬ばっている息子は、大きく首を縦にふった。
父親のわたしに声をかけられていることが、よほどに嬉しいようだ。
思わずとんでもないことを聞いてしまった。
「ボク。ママ、怖いよな。パパとママ、どっちが好きだ?」
息子は小さな声で、うんと頷いた。
聞くべきことではなかった。
しまったと思ったが、飛び出た言葉を呑み込むことはできない。
答えなくて良いよと言いかけた途端に
「パパのほう」
と、また小さく答えてきた。
「悪かった、パパが悪かった。パパもママも両方好きだよな。どっちもだな」
息子の目が輝き、今度は大きく、「うん!」と答えた。
園内地図を広げながら、コンドルの場所を探した。
他の動物園ではあまり居ないはずで、あの大きさには息子も驚くだろうと思えた。
地図で場所を特定したものの、それらしき檻が見つからない。
あちこち連れ回す内に、次第に息子の歩みが遅くなってきた。
幾度となくあくびをしている。