親への口実用に持って来てくれてた、お弁当箱を受け取って。


泥棒は、調べてないけどたぶんセーフで。

開けっぱも、まだ誰も帰ってないからバレずにすんだし。


とりあ、ひと安心で…



部屋に戻って、ベッドにゴロン。






"深紅!"



初めての呼び捨てが…

思い出すたび、胸をたたく。


それは柊也の体温と、力強い腕も同じくで。



ドキドキとあったかいものが、心をくすぐる。





ガムシャラに、あたしを前に引っ張ってくれた言葉は…

なんか不器用で。


思い出したよ…



ー「もともとコミュ障で…」

「言葉、選ぶの間違えて…
引かれたり、傷付けたり、
そーゆーのから逃げてんだよ」ー



なのに、あんな必死にぶつかってくれた。


それに…


ー「あたしのコト嫌いなクセに!?」

「あれはっ、テンパって…」ー


今なら納得。



そして、続く言葉が胸にしみる…


ー「幼馴染みとして、すげぇ大事で…」ー



これも今なら…

十分だって思えるよ。




たとえ幼なじみとしてでも、
大好きな人からの"すげぇ大事"は…


こんな嬉しくて、




心を、埋め尽くす。