「あたしだって……殺されるの、怖いよ?」 「じゃあ……」 「だから、早く!」 でも……と、僕は言葉を濁した。 僕だって、人を殺すのに抵抗がある。 そんなことを言われても、殺せないよ……。 「早く……! 早く、してくれないと……」 彼女の目から涙が溢れた。 彼女だって、嫌なんだ。 けれど僕の為に。 それならば僕も、君の為に。 「あ、あああああ……」 ナイフの矛先を定めた。 一気に走る。