海賊王女と無敵な人魚の王子さま

 ワイヤーで悠々と空を舞う彼ら、だけじゃない。


 剣を閃かせ、銃に倒れるヒト達も……命をかけて戦い、傷つく人たちを、見てる。


 どんなに怖くても、悲しくても、目をそらさずに。


 安全な船長室に閉じこもらないで、見てるから!


 だから、どうか。


 みんな、魔法の完成まで、無事で、存分の戦いを。


 そんな思いを胸に秘めてやっと魔法が完成し、解き放つのと、ほぼ同時だった。


 パン! パンッ!


 なんて軽い音を立てた銃声が鳴り、わたしの肩を鉛の弾が貫いたのは。


 痛い……よりも、熱い!


 肩に信じられない衝撃を受けて、わたし。


 こんどこそ簡単に、紅の自由号の後甲板から海に向かって、吹き飛ばされる。