魔法杖の先に、蒼い弾が次々と出現する。


 この魔法が完成したら弾の一つ一つが、わたしが目で確認できたマスケット銃に向かって飛んでゆく。


 逃げても物陰に隠れても、銃が凍って破壊されるまでしっこく追う、小さくても、優れた魔法だった。


 ……けれども。


 これには大きな欠点があったんだ。


「あはははは~~ 遅せぇよっ!」


 パン! パン! パン!


 敵の海賊が銃を乱射して、阻む紅の仲間たちの攻撃をかいくぐり、呪文を紡いでいるわたしに向かって来る!


 そう。


 魔法での攻撃は、銃での攻撃よりだいぶ、遅かったんだ。


 カキンッ! キュイーンッ!


 魔法の発動を止めようと、わたしを狙って飛んでくる鉛弾のいくつかは、ジーヴルの剣技で真っ二つになって落ちたけれど!


 そんな神がかった荒技を使えるのは、彼とエタンセルしかいなくて。


 ほとんどの仲間たちが、火薬と鉛の弾には勝てずに、一人、また一人と倒れて行く。