「やあ、さつき」って!


 もしかして、このヒト!


「ゆっ……雪村 空琉(ゆきむら くうる)!?」


 思わず大声を出してしまったわたしに、彼は、その形良い眉毛をひょい、と上げた。


「いくら久しぶりに会ったからって、そう、名字つきで名前を叫ばなくたって」


「い……いや、だって!
 ごめん……
 空琉、大分変わったから……」


 なんて、しどろもどろに謝れば、彼は突然笑い出した。


「あはははは~~
 やっぱ、いいや。
 さつき、可愛いから特別に許しちゃう」


「えっ!」


 可愛い、って、なにごと!?


 しかも、空琉って、こんなに軽く笑うヒトだったっけ!?


 今まで、空琉と出会ってから十年以上経つけれど、一度もいわれたことがなかった言葉に、驚いた。