幼なじみがイケメンをこじらせたんですが。



「う……と。目が、違う」


「目?」


「瞳の、色。
 空琉の瞳……空の色してるから」


「は? 空の色って、あいつの目って普通に黒じゃん?」


「違う。空の色。
 蒼みがかった黒で、ロケットが地球から、宇宙に飛び出す寸前の写真で見た。
 成層圏の空の色、してる」


「なんだよ、それ!」


 うん。


 やっぱり、このヒト『雪村空琉』じゃない。


 小さなころ。


 空琉の母さんと、ウチの母さん。

 そして、空琉とわたしの四人で一緒に行ったブラネタリウムで『成層圏の蒼』に出会って以来。


 空琉は、その不思議な『蒼』がとても気に入ったんだ。


 その想いは変わらずに、今でも『空琉の色は、空の色だね』っていうと、照れくさそうに笑うのに。


 たった四十日で、全部忘れるなんてありえないよ?


 だから、わたし。


 ちょっと怖かったけど、聞いてみたんだ。


「あなたは、誰?」